木工旋盤の概略

 金工旋盤では機械に組み込まれた複数の円ハンドルを操作して、刃物による直線的加工を重視するのに対し、木工旋盤では手に持った棒ハンドルを操作して棒ハンドルの先に付いた刃物の軌道により自由な表現の曲面加工を比較的重視する。
 標準サイズの木工旋盤というと、最大旋回直径は約
30cmでモーター出力は1馬力ほど。駆動センターと従動センターの間の距離は90~100cmで、近年は両センター間の距離が半分のショート・ベッド・タイプが設置の容易さから主流になりつつある。ミニ木工旋盤とはモーター出力もセンター間距離も標準サイズの約半分の1/2馬力モデルのこと。ビッグ木工旋盤とは標準サイズの木工旋盤の約2倍の最大旋回直径で、モーター出力も約2倍の2馬力インバーター式変速方式を搭載したモデルのこと。
 主な製造者の工場はカナダ、オーストラリア、中国にあり、様々なブランド名で販売されている。特に中国では相手先ブランド名を冠した様々な木工旋盤が数多く生産されるようになって久しい。最大の市場はアメリカで、この地で使用される木工旋盤の主軸端のネジは慣例によってインチサイズで,ビッグ木工旋盤には1-1/4”x8TPI、標準サイズやミニ木工旋盤には1”x8が使われている。カナダやヨーロッパではビッグ木工旋盤にはM33x3.5mm、標準サイズやミニ木工旋盤では1”x8TPIが使用されている。日本やオーストラリア、ニュージーランドではビッグ木工旋盤でもミニ木工旋盤でもM30x3.5mmが使われているが、ミニ木工旋盤に1”x8TPIが流用される場合もある。
 ビッグ木工旋盤とミニ木工旋盤の違いは芯押軸を併用できない場合に明瞭となります。駆動軸側のみで旋回する工作物を切削する場合、片持ちの状態といいますが、自由端の振れはビッグ木工旋盤では切削時にほとんど影響なくても、ミニ木工旋盤では影響が深刻で、
振動してしまって削れない状態になります。ミニ木工旋盤は低価格で可搬性もあるので入手しやすい反面、芯押軸を併用して振れを抑制し、少しづつ切削加工する辛抱強さも必要になります。ビッグ木工旋盤上で実演時に有効に働いている刃物は、ミニ木工旋盤ではモーター出力の不足や片持ち状態の振れの深刻さの影響で充分に役立たないことも珍しくありません。ミニ木工旋盤独特の加工方法を見出すか、標準サイズやビッグ木工旋盤に移行するか、はたまた、木工旋盤をやめるか・・・。休むという人も少なくないようです。

 

    


                     

                        

 木工旋盤で使用する刃物について

 
木工旋盤で木材を削る刃物には、各種ありますが、HSSの通常の刃物は、凡そ30分間使い続けると
切削能力が低下して木材に食い込んだり(キャッチ)、切削面が汚くなりますので、低速グラインダー等で研磨する必要があります。
再研磨の必要がない超硬替刃式木工旋盤用刃物を提案します。
替刃は、4面使用できますから1枚の替刃で、50〜60時間削ることができます  [超硬替刃式木工旋盤用刃物]     
・シーアイワン(半径10cmの替刃R4 1枚付属) 12,600円(消費税含む)
・半径5cmの替刃R2(仕上げ削り用) 1500円(消費税含む)
・真四角の替刃スクエア(ホゾ、中ぐり用)1500円(消費税含む)
・デフレクタ 別売り3000円(消費税含む) *取り付けなくてもOKです

   この刃物は、当社が日本で唯一の販売代理店となっていますので、他店での購入は、不可能です。

  木工旋盤で、木材を削る時、チャックがあると大変便利です。
旋盤の回転軸の取り付けて使用します。

4爪スクロールチャック 青島チャック 18,400円 
標準爪付属、主軸インサート
 


JET mini VS (愛称 ペンタ)

世界的ヒット商品。廉価でも電気的無段変速方式

一言で云えば、小粋で気が利いている。特筆すべきは作動音の小さいこと。ミニ木工旋盤の長所を最大限に具体化していて世界的にも人気が高い機種です。また顧客満足度を測るデータでも5段階中4〜5とユーザーの評価は高い旋盤です。100v電源用。重量31kg。最大旋回直径25cm。標準センター間距離33cm別売品の延長ベッドを追加すると両センター間は102cmスピード・コントロールは直流モーターを使った電気的無段変速で快適。ダイヤル(目盛り1〜5)と3段プーリーの併用で5003900RPM1分間あたりの回転数)をカバーします。

   台湾製。家庭用100v電源用1/2馬力(連続定格)。
旋回直径25x長さ33cm(+66cm延長可)。
全長71cm。重量34kg。主軸1”x8TPI。
主軸・芯押軸ともMTNo.2。芯高30cm(卓上式)。
作業台には高さ70〜80cmのアルミ洗車台等が流用できます
ぺんづくりなど直径の細い作品づくりで、2000rpm以上で特に快適に作業できるでしょう。

価格 58,400円
  延長ベッド  67cm 

価格 15,750


デルタ 46-460

 



今年2012年の卓上型木工旋盤で最も高い評価

国内外のブログや口コミで評判が上々、
 アメリカの木工雑誌ファイン・ウッドワーキング誌でも中位の大きさの機種でNo.1「買い!」の評価がついた旋盤です。
 
潜在材能力の高さ(低速トルク損失最小、逆転切削可)と可搬性のある重量(44kg)や買いやすい価格(8万円)が認められたのでしょう。今年2012年の卓上型木工旋盤で最も高い評価が与えられました。10万円以下の5機種の卓上木工旋盤を編集者が吟味した手法はカタログ比較では分からない長所が垣間見えてきます。


 比較テストでは、旋回軸の回転を5機種ともベルト掛けやスピード調節ダイヤルで毎分500回転の低速域(太い力強さが欲しい領域)に統一し、刃物で削るときに発生する切削抵抗に見立てた荷重をかけました。直径約25cmx厚さ10cmほどの木地を約500RPMで旋回させ、6kgのオモリを載せた遊具のシーソーのようなの木の板が旋回中の木地に接触して切削抵抗を与え、初めの500回転からどのくらい回転数が下がるかをレーザー回転計で計測した比較実験の結果が以下の通りで、顕著な差がみられました。

比較機種   初期回転数 荷重時回転数 損失

デルタ46−460 510RPM      409RPM      20%

Turncrafter    502     366         27%

General25      502         332         34%
-200M1

General25      509         303         40%
-114QCM1

JET 1220       501         205         59%

デルタ46−460は500RPMという低速域で粘り強い回転力を持っていることが、損失の少なさの比較から分かります。

 電 源  120v電源 
 馬 力 1馬力(連続定格)
 旋回直径 32 cm
 両センター間 42 cm
 主 軸  1”x 8
 主軸・旋回軸  MT No.2
 芯 高 35cm(卓上式)
 全 長  91.5cm
主軸ロックピン 
 重 量  44kg



価格 80,000円

   延長ベッド  65cm 

価格 20,000円


ビーバーSH (Beaver B150SH)

 
90度首振旋盤。標準サイズ機種。廉価でも電気的無段変速方式。
台湾製。
主軸台が90度まで首振り可能で正面からも加工できます
作業台には水平部分1m、高さ70〜80cmのアルミ洗車台を流用できます。
逆転で使用する場合は緩み止め安全リングを共用できるヴィックマーク社製
4爪スクロールチャックやフェイスプレートを推奨します。
 電 源  200v電源 
 馬 力  1馬力(連続定格)
 旋回直径  31cm
 両センター間  50cm(+50cm延長可)
 主 軸  M30x3.5mm
 主軸・旋回軸  MT No.2
 芯 高  35cm(卓上式)
 全 長  120cm
 重 量  98kg

価格 \200,000(消費税含む)


ワンウエー1224

工房を訪れる方に「どの旋盤がいい?」と聞かれると、「一生買い換えないですむレベルならワンウエー1224以上でしょう。」と応える日々が続いていました。
「どこがいいの?」と聞かれると、「一番は高速域での快適さなんです。」と応えます。

VL300などの大型旋盤に馴染んで、次第に低速域で旋削することに慣れていたのですが、ボックスやペン作りといった作品製作で15002000RPMという中高速のスピードレンジでは、どっちが快適と聞かれればVL300より1224です。
もうスムーズで静粛なのです。郊外で高速道路を疾走するスポーツカーの乗りなんですよね。

つまり、生涯学習施設にあって、観衆の前で小作品をぴ〜っと作ってしまうのにピッタリ。クラシック家具の修理をしている人が、趣味や作品制作に励むのにも、す〜っと入っていける快適マシンなんです。木工旋盤メーカーの一方の雄、カナダのワンウエー社で作られています。

主軸ロックピン    ○        

延長ベッド追加    ○   

電源         家庭用100v/200v   

                  
 電 源  家庭用100v/200v 
 馬 力 1馬力(連続定格)
 無段変速 インバーター式可変速
 最大旋回直径 32 cm
 両センター間 60 cm
 主 軸 1”x 8
 主軸・旋回軸  MT No.2
主軸ロックピン ロック可能
延長ベッド追加  61cm
 芯 高  35cm
 全 長 120cm
 重 量 136kg

価格 300,000円

JET1642 2馬力 EVS (愛称:ドリーム)

  何でもできる木工旋盤は素人にとってドリーム()です。

重量物ですが比較的設置が容易な分割できる構造が好評です。

また、夢を実現するには2馬力インバーター搭載が条件になります。

電源は家庭用200(単相交流電源)が必要になります。

あるいは家庭用100v電灯線に昇圧器(100v→200v、1500)を併用します。
最大旋回直径40p、最長旋回物長さ1m、主軸M303.5mm

 

価格 300,000円


ウッドファストM910ホワイト
元々は15年前頃からオーストラリアで製造され、アメリカを中心に世界中に普及した有名な木工旋盤。
現在は中国で製造されるようになり品質はそのままに価格競争力が加味されました。
主軸には日本精工製のボールベアリングを前後2列づつ配置し合計4個使い、
5段の段つきプーリーと2馬力モーター・インバーターで電気的無段階変速式。
インバーターはSchneider社製(日本シュネーデル社がグループ企業)を採用しています。
写真で白いリモコン・スイッチが向って右側に見えますが、向って左側に見える2個の穴にも移動可能です。
旋盤の背面にも同様な取り付け穴がありますので、左利きの方には背面側から使用すると右利きの人以上に活用できるでしょう。
緑色の押しボタンでスタート、赤色の押しボタンでストップ、ダイヤルでスピード・コントロールします。
主軸の逆回転はネジの緩みを防止する構造になっていないため安全上の配慮から採用していません。
長さ1.5mx奥行60cm。
主軸サイズM30x3.5mm。
最大旋回直径52cmxセンター間長さ91cm。
塗装色は白。
付属品は8cmフェイスプレート、25mm4爪ドライブセンター、カップ型回転センター、センター突き出し棒、15cm直線刃物台、30cm直線刃物台(1"ポスト)。

価格 ¥300,000(消費税含む) 


スタビーS750

価格 600,000円

発売は2003年。翌年に日本へアメリカの有名ウッドターナー、アラン・レーサーとジョン・ジョーダンが実演にきてくれるので、彼らが二人とも日頃使っている木工旋盤を用意したことに始まります。
オーストラリア製オメガ社スタビー
S750ショートベッド仕様です。
アメリアではボウルやベセルと作品が好まれ、正面から穴を掘るのに都合のいいショートベッド・タイプに人気があり、ロングベッド・タイプは販売していません。スタビーの特徴はベッドが前後に移動、垂直軸回りに旋回可能な構造です。これにより、通常は最大直径40cmですが、ベッドを後退させると最大直径は75cm(長さは最大30cm)まで旋回させることができます。ただ旋回できるだけでなく芯押軸を併用して直径75cmを旋回させることができるのは実質的に価値があります。木工旋盤では大きなものは特に粗削り時に芯押軸を併用することが実際的に必要になるからです。また、ベッドを垂直軸まわりに旋回可能にしたことで、ベッドを横向きにすると穴を掘る場合に体を充分前方に近づけることができます。さらに、補助ベッドという短いベッド1個とバンジョー(2)が標準装備のため、補助ベッドを主軸台側面に取り付ければ作品の表裏(内側・外側)を平行して削ることができるため、これも実際的な機能です。以上がアメリカで、プロ作家も含めて評価している機能ですが、日本では違ったメリットを感じます。スタビーは主軸台もベッドも着脱式にできているため、分割不可能で最も重い本体部分の重量は約60kgです。これなら夫婦2人とか大人2人で移動できる重量ではないでしょうか。残りのアイテムは大人一人で移動できます。一方、日本では蕎麦のこね鉢という実用的な器があり、直径40cmくらいまでは市販品がいくらでもありますが、直径66cmと云う大きなサイズを依頼されてやれる人は滅多にいません。スタビーを持っている人くらいです。かといって、スタビーは馬鹿でかい旋盤かといえば、通常はベッドを主軸台に接近させて使うので、全長は115cm、その場合の旋回直径は最大40cmです。コンパクトで使い勝手のいい木工旋盤にほかなりません。